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ADHD(注意欠陥・多動性障害)とは

発達障がい

ADHD(注意欠陥・多動性障害)の分類

ADHDは、「注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害」とも呼ばれ、不注意(集中力が保てない)、多動性(じっとしていられない)、衝動性(気になったことにすぐ反応を示す)といった症状が見られる障害です。症状の現れ方によって「不注意優勢に存在」「多動・衝動優勢に存在」「混合して存在」と分類されます。


ADHDのあるお子さまは、その特性により授業中、集中することが難しかったり、忘れ物が多いなどがあり、叱られることが多くなりがちです。叱られることが増えていくと、どんどん自信がなくなり、とてもマイナス思考になっていきます。「僕は何をやってもどうせ怒られる…」「どうせ怒られるから何もやりたくない」と負の感情はエスカレートします。そうならない為にもお子さまの特性を理解し接することが大切です。以前は「注意欠陥・多動性障害」という診断名でしたが、2013年に刊行された「DSM-5」で、「注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害」に変更されました。

ADHD(注意欠陥・多動性障害)の3つの種類と特性について

●不注意優勢タイプ

「不注意」の特徴が強く現れ、「多動・衝動」の特徴があまり強くないタイプです。授業中に集中し続けることが難しい、忘れ物が多い、外からの刺激などですぐに気がそれてしまうなどの特徴があります。授業中、ホワイトボードを板書するように指示されて取り組んでいましたが、ホワイトボードの横に貼られているポスターに意識が向き板書を忘れるといったことが良く見かけられます。

一方で、自分の好きなことについて考えたり取り組んだりしていると、話しかけられても気づかず、周囲の人に「無視をした」「話を聞いていない」と誤解されることもあります。

本人には悪気は一切なく考え事に集中しているだけです。

●多動・衝動性優勢タイプ

「多動性及び衝動性」の特徴が強く現れ、「不注意」の特徴があまり強くないタイプです。動いていないと気分的に落ち着かないだけでなく、無意識のうちに身体が動いていたり、感情や欲求のコントロールが苦手などの特徴があります。授業中でも立ち歩く、指名されていないのに率先して答える、などの特徴から、集団生活で落ち着きのなさについて指摘されることが多いです。

一方、いろいろなことに興味が向きやすい、意欲的といった良い面もあります。悪い面に目が向きがちですが短所を長所に言い換える(リフレーミング)の視点を持ちましょう。

●上記の混合タイプ

「不注意」と「多動性および衝動性」の特徴をともに満たしているタイプです。

幼稚園や学校などの集団の中では、周りから嫌な目で見られたり関わってもらえなかったりする場面も見受けられています。

近年では、ADHDは子どもの5%は当てはまるとされています。30人のクラスであれば必ず1~2人はいることになります。また大人になってからわかる場合もあり、大人でも2.5%がADHDとされています。

特性自体を治療することは難しいと言われていますが、いじめ、不登校、抑うつなどの二次的な問題を予防することは早期療育を行うことによって可能です。

各自治体の児童発達支援や放課後等デイサービスを調べてみることをお勧めします。

ADHD(注意欠陥・多動性障害)の原因とは何か

ADHDは行動等をコントロールしている神経系に原因がある脳の機能障害、特に前頭葉の働きが弱いもしくは何らかの異常が関係していると考えられています。


前頭葉は脳の前部分にあり、物事を論理的に考えたり、思考を整理整頓したりする働きをする部分です。また注意を持続させたり(集中の持続)、行動などをコントロールしたりします。ADHDの人はこうした注意集中や行動制御の機能に何らかの偏りや異常があり、前頭葉がうまく働いていないのではないかと考えられています。
また、男女によって発現率の違いが見られます。男:女の比率は小児期だと2:1、とされており、女性は男性よりも主に不注意の特徴を示す傾向があります。

実際に放課後等デイサービスや児童発達支援の利用者を見ると男児が多い傾向が見受けられています。


こういった特徴を有する要因として遺伝や環境の影響を指摘する研究もありますが、まだはっきりとしたことは分かっていません。元々の素因と過去の環境、現在の環境の影響の相互作用によって症状が生じるという考え方もあります。

そのため「私たちの育て方が悪い」ということではありません。

ADHDと診断されても親のせいと決めつけないでください。

さまざまな要因が影響し合って現在の症状があります。

これってADHDかな? 行動から読み取る一例

●集中力が続かない。注意散漫。

・「一列に並んでください」と指示が出た後に、砂場の道具が気になり走りだす。

・黒板の板書をノートに書いている際に、自身の書いた字が何か別のものに見えて絵を描き始める。

●ルール遵守が難しい。

・滑り台の順番を待てずに逆から登り始める。または割り込み。

・「この問題がわかる人!それでは〇〇くん」と別の児童が当てられた場面で咄嗟に答えを発信する。

●指示は理解しても、従うことが難しい。

・「廊下を走るな」と言われてもスキップをして『走ってはいません』と自身の考えを主張する。

・全校朝礼などで他児に話しかけられるとずっとおしゃべりを続ける。

●落ち着きがなく、静かに過ごすことが難しい。苦痛に感じる。

・授業中の離席。

・気づかないうちに迷子になっている。

●忘れ物・失くし物が多い。

・おもちゃを外出先で置き忘れてくる。

・消しゴムがどこかいっちゃった。(今週で3回目…)

・友達と遊んでたらランドセルを忘れちゃった。

といった上記の例はあくまでも一例ですので全員がそうとは限りません。

ADHD(注意欠陥・多動性障害)の治療方法

ADHDへの治療は大きく分けて2つ。

それが「療育(発達支援)(自立支援)」と「投薬による治療(薬物療法)」があります。


「療育(発達支援)(自立支援)」では、ADHDの子どもが過ごしやすい環境の整備(不必要な刺激を減らし、課題や目標に集中しやすい構を作る)をおこなったり、子どもが社会参加するために必要なスキル(集団活動するためのコミュニケーションや自己コントロールするための方法など)を身につけるための支援をおこないます。またペアレントトレーニングと呼ばれる保護者がADHDの子どもへ適切に関われるように対処法を学ぶプログラムもあります。


「薬による治療(薬物療法)」では、脳内の神経伝達物質(ドーパミンやノルアドレナリンなど)の調整をおこなうために処方され、主に注意や衝動制御の作用があります。処方される薬によって効果が出るまでの期間や一日の服薬回数、副作用などが異なってきますので、主治医と相談しながら現在の状況に合わせて処方してもらいましょう。また、基本的には環境の整備などで対処できる場合はそちらを優先し、それだけでは対処が難しく、ADHDの症状によって生じる二次的な問題(対人関係のトラブルや学力不振によって生じる自尊心の低下など)などを防ぐために薬物療法を用いられることが多いです。

ADHD(注意欠陥・多動性障害)の児童との関わり方

ADHDのある児童は、その特徴から、怒られる機会が多かったり、忘れ物などの失敗を繰り返したりすることで、自分に自信が持てずに、色々な方面で支障をきたしてしまうこともあります。そのため、ADHDのある児童と接する際は以下の点に注意することが必要です。

①できている部分を認める。

できないことの方にどうしても目が行きがちですが、できないところばかり指摘されると、自信を失ってしまいます。これは誰でもそうですよね。ADHDの児童はこれが顕著に現れます。できることの方により着目し、そちらに対して肯定的なフィードバックをすることで、「できた!」という体験が自信となり、次へのやる気につながります。

②得意なことに目を向け、やりたいことを後押しする。

ADHDの児童の中には自分の好きなことに関しては集中力を発揮する方もたくさんいます。児童の強みを発見し、サポートすることが、強みを伸ばしたり、自信を育んだりすることにつながっていきます。「この習い事をやってみたい」と発信があった際には、寄り添いながら心強く「いいよ」と伝えてあげましょう。

③見通しのある声かけを行う。

衝動的に行動をしてしまいがちな児童には、事前に「順番に並ぶルールになっている」などと見通しのある声かけをしたり、気が散りやすい方には気が散らないように机回りを整理したり、準備物を一緒に確認したりするなど、失敗しないためのサポートをおこなうことが大切です。何をするのか予定を冷蔵庫に張り出し見える化することもとても効果的です。

④一緒に失敗からどうすればうまくいくかを考える。

どのような場面で失敗することが多いかを探り、一緒に対策を考えていきましょう。「事前に確認したら忘れ物しなかった」などの成功体験を積みながら、自分の特性との付き合い方を一緒に探していくことが大切です。

⑤動と静のメリハリをつける。

じっとしなければならない場面では、無理に多動性を押さえようとするのは逆効果です。課題の途中に小休止を入れる、身体を動かせる何らかの役割を持ってもらうなどにより、動ける時間と静かにする時間のメリハリをつけることをおすすめします。

⑥特性を理解しイライラしない。信頼関係の獲得。

児童は親や指導者の表情を良く見ています。表情の変化などもとても敏感です。上記の関わり方を実践しながら時にはイライラする時もあるとは思いますが、どうしてそういった行動を取ったのか考え頭ごなしに怒ることは控えましょう。児童の言葉に耳を傾けることも非常に大事です。そういったことから信頼関係は築けます。信頼関係があって初めて療育も進んでいきます。まずはここからです。焦らずじっくり取り組みましょう。

まとめ

ADHDの児童はその特性ゆえに、「話を聞いていない」「無視している」「ルールを守らない」といった誤解される場面が多く、注意や叱責を受けることが日常的になっています。

児童自身はふざけているわけではありません。児童自身も困っているのです。

とても後ろ向きな発言が多く自信がない為、より多くの成功体験を積み重ねる必要があります。

できている部分を認めて長所を伸ばせるよう関わりましょう。

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