「うちの子って通常学級でも大丈夫ですか?」
「小学校で特別支援学級だったけど中学校からは通常学級に戻れますか?」
発達障がい児童をもつ保護者の不安な声や疑問の声が多く上がっています。
ADHD(注意欠如・多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ダウン症、LD(学習障がい)
のように通常学級に行くべきか、特別支援学級に行くべきか迷う保護者はとても増えてきています。
特に、「うちの子が通常学級にいたら他の子に迷惑をかけてしまうかもしれない…」と
悩む方が多くいますが、
結論
迷惑をかけるかどうかは関係ありません!!
何より大事なのは
わが子が伸び伸びと自分らしく成長できるのはどっちだろうということを考えていきましょう!
この記事では通常学級と特別支援学級の違いやメリット・デメリットを書いています。
通常学級の特徴
「通常学級の概要」
通常学級は、学校教育において一般の生徒が通う学級を指します。
学習指導要領に基づいて授業が進められます。
通常学級では多様な学力や学習スタイルを持つ生徒たちが同じクラスで学ぶ場であり、社会的な交流や異なるバックグラウンドを持つ仲間との交流が多くあります。
基本的な科目小学校の場合(算数、国語、理科、社会科、英会話など)が教えられます。
通常学級の先生は、生徒たちの進捗状況を把握し、個々のニーズに対応するために柔軟に教育プランを調整しますが、クラスサイズは通常比較的大きく、35人以下の生徒が同じ教室で学ぶので一人ひとり個別に対応というのは難しいです。
基本的には一斉指導で授業は進んでいきます。
また通常学級では規律なども意識している為、輪を乱すような行動は注意を受けます。
いわゆるグレーゾーンとされる(加配や個別指導計画が必要になる)生徒も通常学級に在籍しています。
その場合、教諭の加配や特別支援教育支援員からのサポートを受けながら、通常学級で学ぶ環境を整えていくことも可能な場合もあります。
加配教員や特別支援教育支援員は発達障がいのある子や1人では授業の理解が難しい子につくサポートの担当者のことで、授業をおこなう担任の先生とは別です。
「通常学級のメリット」
通常学級には数々のメリットが存在し、一般的な学校教育環境において生徒たちにさまざまな利点をもたらします。
・社会的な多様性と協力
通常学級では、様々な性格や能力を持つ生徒たちが同じクラスで学ぶことになります。これにより、社会的な多様性が育まれ、生徒たちは異なる視点や文化に触れながら協力し合うスキルを身につけます。
・標準的な教育プログラムの提供
通常学級では、学習指導要領に基づいた一般的な学校教育プログラムが提供されます。主要な科目に焦点を当てた教育が行われ、生徒たちは基本的な知識やスキルを幅広く獲得することが期待されます。テストも用意されており、小学校では3段階、中学高校では5段階で評価されます。
・社会的なスキルとコミュニケーションの向上
クラスでは係活動や委員会などに所属することになるので、「社会に出たら役割がある」ということを知るきっかけにもなります。
中学生になると体育祭や文化祭などクラスで参加することも多いので、「自分もクラスの一員」「みんなで一つの目的に向かって頑張る」ということを意識することができます。
また、近年はインクルーシブ教育を求められており、多様性を認めて障がい者も健常者も同じように平等に暮らす教育を目指しています。
そのため、特別支援学級の児童が通常学級の児童と一緒に給食を食べたり、クラブ活動をしたりとお互いに相手の存在を認める活動も増えてきています。
実際、クラスにダウン症児がいてダウン症について小さいときから触れて知ることで、思いやりのある子どもに育った・人に対して優しくなったという声もあります。
・多様な選択科目と進路
通常学級では、生徒たちは自分の興味や将来の進路に基づいて選択科目を持つことができます。これにより、個々の生徒が自己発見し、自己表現を深める機会が提供されます。”自分で何かを選ぶ”という選択の場面が多くあります。「クラブは何にするか」、「委員会は何にするか」など。
特に進路に関しては、公立に進むか私立に進むかの選択の幅が大きく広がります。
「通常学級のデメリット」
・授業の進みが早い
授業の進みは早く、さらに一斉授業の為、勉強が苦手な児童や発達障がい、学習障がいの児童は置いてきぼりにされることがあります!またクラス全員が発達障がいや学習障がいに理解がある児童ではない為、からかいからいじめに発展する場合もあります。
・担任に発達障がいの理解がない場合がある
35人など大勢の生徒を抱えていると一人にだけ関わり続けるということはできず、特性を抱えている児童に対応することが難しい場合があります。対応を後回しにされたり、先生によっては他の生徒に「〇〇くんのサポートをお願い」と役割を与える先生もいます。
・競争を強いられる場面が多い
通常学級では、「テストの順位」「運動会の徒競走」など他にもいろいろな場面で優劣がつくことが多くあります。それによりマウントを取りたがる児童が増えてきます。自己肯定感が上がる児童もいれば自信を無くす児童も多いです。
特別支援学級の特徴
「特別支援学級の役割と目的」
特別支援学級は、異なる学習ニーズや発達段階にある生徒たちに特化した教育環境を提供する重要な教育プログラムです。その役割と目的を理解することは、特別なサポートが必要な生徒たちが最適な教育を受け、個々の能力を最大限に発揮できるようにする鍵となります。
特別支援学級の役割は、まず生徒たちに適した学習環境を提供することにあります。通常学級では難しい学習障がいや発達障がいを抱えた生徒たちが、より少人数のクラスでより多くの支援を受けられるようになります。これにより、生徒たちが安心して学び、発達に必要なスキルや知識を身につける土台が築かれます。
特別支援学級の目的の一つは、個別のニーズに合わせた教育プランを提供することです。個々の生徒の発達水準や学習ペースに応じて、特別なプログラムや教材が導入され、生徒たちが自分のペースで進学できるようになります。この個別のアプローチは、生徒たちが自らのポテンシャルを最大限に引き出す手助けとなります。
また、支援学級は生徒たちの社会的な発達を促進する役割も果たしています。少人数のクラス環境であるため、個々の生徒がより密なコミュニケーションをとり、協力や協調のスキルを発展させる機会が増えます。これが社会的な経験を通じて、生徒たちが他者との関わりやコミュニケーションに自信を持つ手助けとなります。
総じて、支援学級は異なる学習ニーズを持つ生徒たちが個別にサポートされ、安心して学び、成長できる教育環境を提供することが主な目的です。特に生徒一人ひとりのニーズに焦点を当て、包括的なサポートを提供することで、支援学級は教育の平等性と多様性を促進し、全ての生徒に学びの機会を提供しています。
「特別支援学級のメリット」
・個々に応じた学習
生徒のニーズに応じて、自立活動や各教科などを合わせた指導など、障がいによる学習や生活の困難を克服するための特別な指導を行ってくれます。またクラスも8人以下となっており担任以外にも加配された指導員が多くいるので手厚い指導が行われます。
個々に応じた学習の中には自立活動というものがあります。この活動は生徒の特性を考慮し、身体の動かし方がうまくできない児童にはちょっとした体操やストレッチをする時間にしたり、人との関わりが苦手な児童にはSST(ソーシャルスキルトレーニング)を行ったりする時間が設けられています。
・学習だけではなく日常動作訓練も行ってくれる。
勉強だけではなく、日常動作訓練も行ってくれます。例えば、なかなかトイレのタイミングがつかめず失敗している児童には授業の合間や場合によっては授業中にトイレに誘導し、排せつのタイミングなどを練習してくれます。その他にも、ランドセルの中の整理整頓や荷物の整理の練習。最近はタブレットなど持ち帰るものも多く、上手に収納することが難しくなっています。そういった部分も手紙はわかりやすいファイルにまとめるなど個々に応じた対応方法を考えてくれます。
・担任が特性の理解をしてくれている。
担任が特別支援学校の教員資格を持っていたり、担任だけではなく専門的なカウンセラーと密に連携を取ることができます。
「特別支援学級のデメリット」
・多様化の幅が狭まる
特別支援学級の児童は通常学級の児童とクラスも違えば、学習内容も大きく変わってきます。通常学級との交流もインクルーシブ教育が推進されてきていますがまだまだ隔絶されている学校がほとんどのように思われます。月に1回交流給食があったり特別支援学級と通常学級の児童が一緒に遊ぶ委員会などがありますが、どうしても通常学級の児童は通常学級の児童と、特別支援学級の児童は特別支援学級の児童と一緒になることが多いです。
・宿題があまりないもしくは工夫がない
特別支援学級の児童は担任によって宿題の量が大きく違います。またスモールステップで身につけるという意識が強く働くため、同じ宿題を半年間ずっと出されたという児童もいました。内容に関しても3年生の宿題でひらがなを出されたりと担任によっては適当になってしまうケースがあります。
学習に関してはご自宅でワークを買ったり、担任の先生と細かく相談しながら進めていく必要があります。
・通常学級へ戻ることが難しい
通常学級から特別支援学級への転級はスムーズに進むことが多いですが、その逆はほとんどないと言っても過言ではないです。特に高学年とかになると理科や社会といった科目が増えたり学習の差が大きく開いているので通常学級に戻っても授業が何もわからず何もできないといったことが起こります。
・進路が制限される
特別支援学級の生徒が中学生に上がる時、通常学級になることはほとんどありません。
そのまま特別支援学級に進むことになります。また高校に上がる時も基本的には特別支援学校への進学が当たり前のように進みます。
ここで困るパターンとして、グレーゾーンの児童として特に障がいの診断を受けていない児童が特別支援学級に在籍していた場合、特別支援学校高校部への入学が難しく断られたという事例が前にありました。理由としては知的障がいや何らかの発達障がいがあり、療育手帳や愛の手帳が必要となります。
上記の生徒は通信制高校への進学を決意し今は大学にも通っています!
このように進路の幅は狭くなることがほとんどです。
「特別支援学級の種類」
特別支援学級には以下の7つの種類があります。
- 弱視
- 難聴
- 知的障害
- 肢体不自由
- 病弱・身体虚弱
- 言語障害
- 自閉症・情緒障害
特別支援学級を設置している学校であっても、7種類すべてに対応しているわけではありません。就学を考えている学校にどのような種類の特別支援学級が設置されているのかを確認することが大切です。
「特別支援学級へ入るには」
特別支援学級に入る基準は、障がいの有無や程度だけではなく、子どもそれぞれの状態や校内、地域の体制などを総合的にみて判断されます。
入学までの流れとしては、就学相談などを通じて本人や保護者の意志を尊重しながら、市区町村の就学支援委員会が総合的に判断し、最終的に就学先の設置元である教育委員会から決定の通知が出されます。
基準を満たし、本人や保護者が希望すれば、特別支援学級に入ることができますが、学びの場はさまざまな選択肢があり、指導内容や教育課程も異なるので、子どもにあわせてより適切な環境を考えることが大切です。
就学相談については下記記事にて詳しく説明しています。
通常学級か特別支援学級か、選ぶときの大切なポイント
通常学級か特別支援学級のどちらかを選ぶ上で大切なのは、子どもにとって一番安心できる居場所かどうか、また学習面で学びやすい環境かどうかということです。
このような環境を選ぶ4つのポイントを以下で説明します。
「進路先の情報収集する」
住んでいる地域によって、特別支援学級や特別支援学校、通級指導教室の種類や数は異なります。
お住まいの自治体のホームページで家から近くには、どのような学校や学級があるのかなどを調べてみましょう。直接学校に電話しても教えてくれます!
また、選択肢として検討している学校に通う先輩の保護者に聞いてみるのも良いでしょう。最近では口コミ等も多く出ている為、いろいろなところから情報を集めましょう!
「子どもの特性、必要な支援や配慮を整理してまとめる」
子どもに合った環境を選択するには、今の子どもの状況をよく理解し、子どもに必要な支援がどこであればかなうのかを考えましょう。
そのために、まずは子どもの状況や特性を把握し、どのような支援や配慮があれば学びやすいのか、過ごしやすいのかを整理してまとめましょう。得意なこと不得意なこと。他には好きなこと嫌いなことなども細かく理解しましょう。
例えば、大人数の通常学級の方が良い刺激になる場合もあれば、少人数の支援学級、特別支援学校の方が自分のペースで落ち着ける、集中できるという子もいます。
整理する際には、ご家庭で話し合う他に、通っている幼稚園・保育園や療育施設の職員、医療機関などに聞いてみると家庭以外での子どもの様子や必要な配慮についても知ることができるでしょう。
「雰囲気を見に行く!」
実際にクラスの様子を見学に行きましょう!できれば子どもも一緒に連れていった方が子どもにとってもイメージがつきやすく良いです。
見学時に見るべきポイント・聞いておくと良いポイント
- 学校全体や教室の雰囲気
- 学級の数・1学級あたりの人数
- クールダウンできる場所があるか
- 支援級と通常学級の接点について
- 学習の進み具合
- 通常学級でのサポートについて
- 特別支援学級へのサポートについて
「子どもが学びやすい・過ごしやすい場を選ぶ」
②で整理してまとめた子どもの特性や必要な配慮と、実際に見学にいった学校や学級を振り返って、子どもに合った必要な支援が受けられる場所がどこかを検討しましょう。
子どもの感想も聞いてみましょう!親が感じたことと子どもが感じたことは結構相違があったりします!
まとめ
発達障がいがあるから絶対特別支援学級じゃないといけないといった決まりはありません!
進路先を考えるときには、子ども本人とも話し合い、どのように過ごしてほしいか、どのように成長してほしいか、子どもの特性に合った環境はどこなのかなどという視点で検討することも大切です。
同じ悩みを持つ保護者や先輩保護者に相談するのも大切です!
現在ではオンラインサロンや放課後等デイサービスで情報共有をしたりと情報を集める場所は増えています。
一人で悩まず相談して、子どものより良い未来をサポートしていきましょう!
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