「友だちの子どもがトイトレを始めたって聞くとあせってしまう」「幼稚園入園前におむつ卒業していないと怒られるってほんと?」など、トイレトレーニングに焦りや不安を持っている親御さんも多いようです。
発達障がいのお子さんの場合、特性により全然スムーズにいかないってこともあります。
この記事ではトイレトレーニングのはじめどきやスムーズな進め方、発達障害のある子のトイレトレーニングのポイントを解説します。
トイレトレーニングはいつがはじめ時?
乳児期は膀胱が小さい為、おしっこを溜めておくことが難しく、赤ちゃんは意思とは無関係に反射的におしっこをします。回数も多く、1日に何度もおむつ交換をして「またか!」と大変だったことを思い出す親御さんも多いことでしょう。
1歳半ごろになると膀胱も成長し、トイレの間隔があいてきます。また、脳の神経伝達も発達するため、おしっこが溜まる感覚も徐々にわかるようになってきます。
トイレトレーニングには、こうした体と心の準備が必要です。
親が意気込んで「よし今日からトイトレやるぞ!!」と始めるべきものではなく、
子どもの「準備OKだよ」のサインをキャッチしてからスタートするもの、と心に留めておきましょう。
親子で一緒に取り組むことが重要なんです!
- トイレトレーニングを始めるきっかけ!目安!
トイレトレーニングのタイミングは以下の3つを参考に始めましょう。
①一人で立ち歩きができる
身体障がいがある場合はこの限りではないですが、一人で歩ける程度の運動発達の
段階になっていることが一つの指標となります。
②コミュニケーションが取れる
トイレトレーニングでは、大人からの「おしっこ、出る?」「トイレに行く?」といった呼びかけや、絵カードなどでの指示などを理解する力が必要です。
※発語がない、少ない場合でも指示の理解が一定できればスタートの目安となります。
③トイレの間隔が少しあいてきた
膀胱が発達し、一定時間尿を貯めておく機能が発達してくると、だんだんとおしっことおしっこの間隔があくようになってきます。
大体2時間以上あいていれば、トイレトレーニングの始めどきです。
おしっこの間隔は、おむつを交換してから“おしっこライン”が出るまでの時間をチェックしたり、おしっこの前やおしっこ中にモゾモゾしたりなど、表情の変化や仕草がないかを見るとわかりやすいです。
時間を測ることも大事です。
トイレトレーニングを始める前の準備
お子さんの身体や心の成長も大切ですが、まずはしっかりトイレトレーニングについて予習をし、準備をしておくことが大切です。
おむつ替えのときに「おしっこ出たねーえらいえらい」「おむつを替えると気持ちいいねー」など前向きな声をかけることも、トイレトレーニングのための大事な準備です。赤ちゃん時代からこうした声がけを意識するといいでしょう。親御さんも心の準備が追いついてきます。
そしておむつが濡れた感覚や、おしっこが出る前後の感覚をつかむ手助けになります。
また、おしっこのときにもじもじしたり、そわそわしたり、おむつを触ったりするなどの決まった仕草をしているようであれば、それはおしっこの“サイン”として覚えておきましょう。
トイレトレーニングの重要なポイント!それはタイミングよくトイレに誘うこと!
「トイレでおしっこができた!」という成功体験を積み重ねることが、子どもの自信につながります。
トイレトレーニングを始める前にご家族がトイレに行く様子を見せることもおすすめです。
子どもは、大好きなお母さんやお父さん、お兄ちゃん、お姉ちゃんの真似をしたがります。
トイレでおしっこをする様子を見せることで、「自分も!」という意欲を高めましょう。
おまるでトレーニングをする予定なら、少し前から部屋に置いて慣らしたり、子どもの好きなキャラクターのおまるでモチベーションを高めましょう!
トイレの環境設定を見直すことも、トイレトレーニングをスムーズに進めるための重要なポイントです。
暗くて狭いトイレをこわがったり、場所見知りをするケースがあります。子どもが好きなキャラクターのポスターや、トイレでおしっこができたら頑張ったシールを貼れるトイレカードを作るなど、親子で楽しくトレーニングができる演出を心がけましょう。
トイレやうんち、おしっこをテーマにした絵本を読み聞かせるのもおすすめです。トイレでおしっこやうんちができると、気持ちいい、すっきりする、というプラスのイメージを持てると、子どものやる気も高まります。
また、寒い時期を避け、気候が良い季節から開始するほうがよいでしょう。
トイレトレーニングの進め方
トイレトレーニングは回数が多いおしっこから始めましょう!おしっこからリズムを掴みうんちへと繋げていきましょう!
下記の流れで進めると良いでしょう!
■ステップ① おしっこのタイミングでトイレに誘う(声をかける)
子どもがトイレに行きそうなタイミングを把握していれば、その前後におむつをチェックしましょう。ご飯の後やお風呂の前で声をかけましょう!
補助便座やおまるに座ると、偶然にでもおしっこが出ることがあります。おしっこができたら、「気持ちいいね!」「おしっこできたね」と声をかけ、排尿の感覚を学ばせましょう。
■ステップ② おまるやトイレでおしっこする回数を増やす
おまるやトイレでの排尿に一度でも成功したら、だんだんとトイレに誘う回数を増やしていきましょう。
もちろん、失敗することもたくさんあると思います。ここで絶対にしてはいけないことは失敗を叱ること!
叱られると子どもはトイレやおしっこに対して恐怖心やマイナスな気持ちを抱いてしまいます。失敗は当然とおおらかに構え、うまくいったときにたっぷりほめることを心がけましょう。
■ステップ③ おむつから徐々にトレーニングパンツや布パンツに変えましょう!
トイレやおまるでおしっこをすることに慣れてきたら、日中の紙おむつは卒業です。
トレーニングパンツや布パンツにステップアップしましょう。おもらしをしてしまうこともありますが、それも子どもにとっては大切な学びです。濡れると気持ち悪いことを体感することで、だんだんとおしっこの前にトイレに行く習慣が身につきます。
ここでも失敗は叱らないように!!とにかくマイナスイメージを持たせないように!
■ステップ④ 自発的にトイレに行くことを待ちましょう
トイレトレーニングの最終仕上げは、子どもが自分から「トイレに行く」という意思表示をするのを待つことです。
これまでは「そろそろおしっこ行く?」「トイレに行こう」と誘っていましたが、こちらから誘うのはストップ。
子どもから「おしっこ」と教えてくれるのを待ってみます(必ずしも言葉による意思表示である必要はありません)。おしっこが出る前にトイレに行きたがり、便器で排尿ができたら、おしっこのトイレトレーニングは完了です。
※ステップは子どもの困難性の種類や態度によって異なります。上記は一例であり、発達が気になる子どもの場合はよりスモールステップで進めていきましょう。たとえば、感覚鈍麻があったり、失敗に過度に反応してしまう場合や、こだわりの強いタイプには、よりスモールステップで少しずつ進めましょう。
成功への近道は
ずばり!
「温かい目で見守る」「焦らずコツコツ」
この2つがとても大切です。
トイレでの排尿・排便は、成功と失敗を繰り返しながらゆっくり習得していくものです。
その日の体調や気分によってもうまくいったり失敗したりがあります。急にパンツからおむつに戻ることなんかもよくあります!
ただそんなことはよくあります!失敗は当たり前と思いおおらかな気持ちで受け止めましょう!
子どもが楽しくトイレトレーニングに取り組めるように工夫することも親ができるサポートのひとつです。好きなキャラクターのパンツやおまるを用意したり、脱ぎ着がスムーズな服を用意しましょう!
また、パンツへの移行期には、慣れないことからとくに失敗が多いものです。外出先でうんちやおしっこを失敗してしまうと、ついイライラしてしまったり、楽しいお出かけを早く切り上げて帰る、なんてこともあります。
そういうことがあると心に留めておくだけでも心の余裕が生まれ優しい声掛けができます。
外出時はおむつ、家では布パンツというように、臨機応変に使い分け、トイレトレーニングがストレスにならないように工夫しましょう。
ママ、パパが準備万端に整えていても、ライフイベント(弟・妹ができる。引っ越し)などで環境が変わったりすることで、トイレトレーニングが降り出しに戻ってしまうこともあります。
もし子どもがトイレでおしっこをすることにストレスを感じているようならば、思い切ってトレーニングを中断し、少し時間をおいてから再チャレンジするのも一案です。
上手にできたらたっぷり褒めて信頼関係を築きながらゆっくりと焦らず取り組んでいきましょう!
発達障害の子どものトイレトレーニング
発達障がいのあるお子さんの場合は、その特性によってトイレトレーニングがうまくはまらないことがあります。
またADHD(注意欠如・多動性障害)と夜尿症(おねしょ)の合併は約3~4割ぐらいといわれており、どうアプローチするべきかを考え早期にトイレトレーニングを行うことが重要です。
特性に合わせたトイレトレーニングのポイントをまとめていきます。
発達障がいのトイレトレーニングが進まない原因
発達障がいの特性はお子さん一人ひとり違っており、トイレトレーニングがうまくいかない原因も、お子さまによって異なることがあります。
これから紹介するやり方が合っているかはトライ&エラーで行っていきましょう!
トイトレを開始するタイミングとしては、下記の条件を満たした場合が良いといわれています。
- おしっこの間隔が2時間以上空く。
- 「おしっこ」「うんち」の理解があり、言葉や絵カードでやりとりができる。
- トイレまで一人で行ける。便座に座れる。
上記を満たしており、トイレトレーニングがうまくいかない場合に、原因として考えられるケースを紹介します。
他の原因がある可能性もありますので、あくまでも参考としてご覧ください。
お子さまの様子を観察し、どこにつまずきがあるのかを見極めるようにしましょう。
■こだわりが強い
ASD(自閉症スペクトラム障害)のこだわりの強さがある場合は下記のケースが予想される。
- おむつじゃないと嫌だ。パンツに代わるとストレスを感じる。
- 家じゃないとできない。環境の変化にストレス。
- 決まった姿勢じゃないと嫌だ。洋式でも和式スタイルでやりたい!
- ペーパーのにおいや色が気になってできない。
自分が慣れていたり、落ち着く環境から変化を求められた場面で、強い抵抗感を示しトイレを嫌がることがあります。
今まで「おむつ」だったのに…。
自分の好きな「タイミング」「場所」「体勢」でしていたのに…
急におむつから「パンツ」に変わり、トイレでしなければならなくなることは、特性のあるお子さまにとっては大きなストレスです。
おむつからパンツに変わることだけではなく、特定の場所(カーテンの後ろや机の下など)でしかおしっこができない、長座でしかうんちが出せない等のこだわりがあるお子さまの場合は、トイレで正しい姿勢で排泄することに慣れるまで時間がかかることがあります。
社会的な自立を目指すときに課題となるものである場合には、児童発達支援や放課後等デイサービスに通うなどしてサポートを受けながら段階的に「できる」範囲を増やす練習を重ねていくことが重要です。
■感覚特性がある
ASD(自閉症スペクトラム障害)の「感覚過敏」「感覚鈍麻」がある場合は下記のケースが予想される。
- 「便座の質感」が苦手…触覚過敏
- 「おしっこやうんちがでたこと」に気づかない、出る感覚が分からない…触覚鈍麻
- 「トイレを流す音や、手を乾かすジェットタオルの音」が苦手…聴覚過敏
感覚過敏があると、トイレの「明るさ」「におい」「音」などに大きなストレスを感じ、「トイレに行くこと自体が苦手」という子どもも少なくありません。
逆に鈍麻があると「おしっこ」や「うんち」が出ていることに気づかなかったり、トイレに行くタイミングがつかめないことがあります。
トイレ内の環境設定も慣れていくために必要です。
■ボディーイメージを持つことが難しい
DCD(発達性協調運動障害)の身体のコントロールが難しい場合は下記のケースが予想される。
- 座った状態で力を入れることができない。姿勢が保つのが難しい。
- トイレットペーパーでうまく拭けない。おしりの位置の把握が難しい。
- 排泄をするときにどこに力を入れたらよいかが分からない。
- おしっこやうんちが溜まっている感覚に対して鈍さがある。
おまるのときは上手にできたのに、便座になった途端にうまくいかないときなどは、運動機能に課題がある可能性があります。
トイレに行きたいときではないタイミングで、「トイレに行く」「踏み台を使う」「トイレに座る」という動きの練習を何度も繰り返すようにしましょう。
発達障害のあるお子さまの場合、尿意・便意に気づくことが鈍いことがあるため、その感覚に気づいたときには、とても強い尿意・便意に焦ってしまい、普段通りにできなくなってしまうことが多いです。
焦っているタイミングで指示をしても、状況判断ができずに、混乱をして失敗をしてしまうことがあります。
■夜尿症(おねしょ)が多い
「5歳以上で1か月に1回以上の頻度で夜間睡眠中の尿失禁を認めるものが3か月以上つづくもの」が夜尿症とされています。
ADHD(注意欠如・多動性障害)がある場合に合併して発症することが多く、下記のケースが予想される。
- おしっこを我慢する機能(排尿をコントロールする前頭葉の働き)が弱い
- 寝る前に水分をたくさんとる。…行動の抑制が苦手。
これらの原因によって、睡眠中に無意識におしっこをすることがあります。
寝る前のルーティンを決めておくと良いでしょう。
「寝る前にトイレに行く」「寝る前はコップ1杯の水を飲む」など
発達障がいのトイレトレーニングのポイント
発達障がいのあるお子さんのトイレトレーニングは一般的なトイレトレーニングだけでは習得が難しい場合があります。
ポイントは2つ!
①スモールステップでコツコツと!!
②繰り返し練習!!
前提として定着させることができるようになるまで、根気強く続けることが非常に重要です。
■段階的に少しずつ慣れていく
トイレトレーニングは言葉や練習だけでは習得が難しい。
まずは「おしっこ出た!」と気付くことからスタートし、次に「おしっこ出そう!」のようになることを目指しましょう。おしっこが出るときの感覚を学ぶことが第一段階です。
おしっこが出終わった後もパンツを交換したりする場合は必ずトイレに連れていきましょう!!
おしっこやうんちはトイレで行うものという印象をつけていきましょう!
前述したとおり感覚過敏のあるお子さまの場合は、トイレそのものの環境に抵抗感があるケースがあります。
まずは「パンツをはいたまま便座に座る」ができたあとに「素肌で便座に座る」、「水を流す音だけを聞く」など、環境に徐々に慣れることから始めていきましょう。
運動機能が難しくうまくいかないお子さまの場合には、「パンツをはいたまま、おしりを拭く」「おむつをしたまま、うんちを出すために踏ん張る」など、感覚を掴む練習をしましょう。
遊び感覚で行うとお子さんのトイレに対しての嫌なイメージがなくなっていきます!
子ども用便座や踏み台を使うなどの一般的なトイトレに加え、特性に合った練習や工夫を組み合わせていくようにしましょう。
■失敗は当たり前!と思って取り組む!
トイレトレーニング中におもらしをしたことを叱られたり、保護者の方にがっかりされたりすると、自己肯定感が下がり、トイレをすること自体に抵抗感や恐怖心を抱くことがあります。
失敗経験を嫌と捉えているとトイレに間に合わずに、おしっこやうんちが出た場合に「隠す」ということもあります。
「隠す」ようになった場合には、こちらの教えが耳に入らないようになるので気を付けなければなりません。
「トイレ嫌い」にならないように、小さなことでも成功すれば丁寧に褒めるようにしましょう。
成功体験を繰り返し、「こうすればよい」という感覚を徐々に身につけさせていくことが大切です。
一度できたとしても、次に失敗してしまうこともあります。気長に根気強く取り組んでいくようにしましょう。親御さんの心構えだけで声掛けは変わってきます!
行動が定着できるまで、お子さまのペースで少しずつ「できた!」を増やし、その都度褒めていきましょう!
■トイレにポジティブな印象を!!
なぜ嫌な思いをしてまで、練習をしなければならないのかが分からず、無理やりトイレトレーニングを始めて混乱したり、練習が嫌になったりすることがあります。
トイレに行けたらご褒美シールをあげるなど「うれしいことが起こる場所」にしたり、好きなキャラクターのポスターを貼って子どもが「好きな空間」にしたり、子ども向けトイトレ動画などを見せて「トイレでおしっこできるのがかっこいい」と理解させたりするようにしましょう。
トイレをポジティブなイメージ(自分にとってメリットのある場所)にできるよう、お子さまに合わせた工夫を取り入れていきましょう。
家以外での練習の場を作る
最初は「家でトイレができるようになる」ことを目指していくのが一般的ですが、保育園や小学校などの集団生活を見据えて「家じゃないところでもトイレができる」ことも重要です。
保育園や幼稚園では「園でも一人でトイレができること」が入園の条件であることがあります。
近年では、加配保育士(障害のあるお子さまを対象に配置される保育士)がいたり、発達障害やその傾向のあるお子さまのサポートをおこなっていたりする園が徐々に増えてきていますが、通園可能な範囲になかったり、十分な支援が受けられなかったりするケースもあるようです。
入園を見据え、障害のあるお子さまの発達を支援する「療育」を提供する障がい福祉サービスの利用を検討してみるのも選択肢のひとつです。
児童発達支援や放課後等デイサービスでも家庭と連携してトイレトレーニングをしてくれます。
各自治体の福祉サービスを調べてみると良いでしょう。
児童発達支援や放課後等デイサービスについては下記ブログで詳しく紹介しています。
まとめ
トイレトレーニングは子育ての中で上達スピードもそれぞれ違うため、とても大変です。
一人で抱え込まずにご家族や保育園の先生、障がい福祉サービスの職員などと連携して練習していきましょう!
トイレにポジティブなイメージを持たせるために前向きな声掛けや表情を心がけましょう。
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