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就学相談とは?いつから?どんなことをするの?

発達障がい

障がいのあるお子さんや発達の様子が気になる(病名がついていないいわゆるグレーゾーンと言われる)お子さんを持つ保護者の方にとって、小学校や中学校の進学にあたり、お子さんの就学先を選ぶことは、お子さんの将来にも関わるターニングポイントになるでしょう。

発達や特性が気になる子どもの就学先を決定する就学相談。行われる発達検査やその判断基準はどのようなものでしょうか。またいつ頃から始めればよいのか。

この記事では、就学相談の流れや判断基準、発達検査などの内容を紹介します。

受けるべきか悩んでいる方にとって、少しでも参考になれば幸いです。

就学相談とは?

自治体の行う就学相談では、障害がある子ども・個別の支援が必要な子どもにとって適切な就学先を相談することができます。

保護者・児童・教育委員会との話し合いの場と捉えてください。


主には小学校・中学生入学前(前年度:小学校入学前だと年長時、中学校入学前だと小6時)に行われ、お子さんが通常学級・通級指導教室(特別支援教室)・特別支援学級・特別支援学校のどこに適性があるのかを相談します。

教育的観点以外にも、心理学的、医学的見地から、本人や保護者の希望、地域の学校や実情を踏まえて子どもの就学先の判断がなされます。

※就学相談は、地域によって内容や呼び方、その過程が異なるためご注意ください。この記事の内容を参考にしていただきながら、お住まいの地域の就学相談についてはご自身で行政や学校にお問い合わせすることをお勧めします。

就学相談の目的・概要

そもそも何のために就学相談ってあるの?という疑問をお持ちの方もいるでしょう。

就学相談では、教育的視点や医学的視点などさまざまな意見をもとに子どもの就学先を判断しますがまず第一に、子ども自身のため、子どもにもっとも適している教育環境を準備するためにあります。

つまり障がいや特性をお持ちのお子さんのこれからの人生においてどういう方向性で進めるべきかを考える場になります。

子ども、保護者、教育委員会、医療関係者、心理関係者、すべての関係者の意見を聞き、子どもにとって最もふさわしい教育が受けられるようにすることが最大の目的となります。

近年、合理的配慮、インクルーシブ教育といった観点からも就学相談の工程や制度、考え方が見直されており、教育環境の柔軟性が広がってきています。

今までは入学した学校から転学が難しかったですが、現在は子どもの発達の程度や特性に配慮しながら選択できるようになりました。

教育場をを固定されたものとして考えるのではなく、子どもの状況に応じて、必要な環境を柔軟に選択していくことが望ましいと言われています。

※自治体によっては規制があり、原則決められた学区域の学校に就学することとされているところもあり、自由に転学・転級が難しいということもあるようです。

就学相談の流れ・スケジュール

一般的には小学校への入学1年前(年長)の4月頃から始まります。

おおよそ11月頃には就学先が決まり、1月頃には就学通知が届きます。

ただ自治体や年度によって異なることがあるため、目安としてお考えください。

申し込み

就学相談は、基本的には就学時健康診断のように通知が来ることはありません。子どもの発達や障がいが気になる場合や、子どもの就学先を相談・検討したい場合は、保護者の方が自ら就学相談を申し込む必要があります。

申し込みの仕方は様々です。

学校から案内が届いたり、幼稚園・保育園から案内が届くこともあります。またどちらでもない場合はご自身で自治体の教育委員会に連絡し申し込みを行う必要があります。

面接

申し込み時に面接の日程を決めていきます。大体の自治体が複数回行うと思われます。面接時は子どもの生育歴や診断書などをもとにお子さんの様子や保護者の希望を聞かれます。あらかじめ、質問票や所定の書類に必要事項を記入しておく必要がある場合もあります。

面接では、お近くの通級、支援級、支援学校の状況を必ず聞きましょう。学級の人数、歩いて通える範囲にあるかどうかなどを確認するとよいでしょう。また、通級、支援級、支援学校でどのような支援が受けられるか、卒業後の進路などより具体的に聞いておくこともポイントです。

合わせて希望の学級・学校の見学、体験ができるかどうかも聞いてみると良いでしょう。

知能検査・医師診察

就学相談の発達検査・知能検査は、臨床心理士等の専門家により、1時間ほどで行われます。

診断がついてない場合、医師による診察が行われる場合もあります。

発達・知能検査の種類には、代表的なものとして「田中ビネー知能検査V」「WISC-V知能検査」などがあります。

かかりつけの医療機関や療育機関がある場合は、その機関で検査を受けられることもあります。

検査では、言葉の理解、一時的な記憶処理などさまざまな項目のワークを行います。その結果から子どもの発達状況や、得意・不得意を理解します。

発達検査からはIQなども測定されますが、普段とは違う環境でのテストにより不本意な結果になることも多いです。その結果をすべてと思いすぎず、あくまでも「そのときの結果なんだ」と目安として受け取ることが大切です。

しっかりと検査を受けたいのであればかかりつけ医での発達相談・発達検査を行う方が良いでしょう。

見学・体験

就学予定先(通級、支援級、支援学校)への見学、体験方法は主に二つの方法があります。

一つ目は学校行事を確認し(HPで年間行事が確認できる学校がほとんどです。)公開日や参観日を確認して行く方法です。アポ無しでの訪問は難しい為、学校に問い合わせましょう。

二つ目は、市区町村の教育委員会を通して各々の学校へ見学、体験を申し込む方法です。この二つの方法が一般的ですが、お住まいの地域によって違うことがあるので、面談の時に聞いてみるとよいでしょう。

見学中、体験中には、どんな課題のある子どもにどんな工夫や支援がされているのか聞いてみましょう。それを踏まえて、子どもがその学級・学校へ通っている姿や、支援を受けられるかを想像しながら歩いてみると普段は気付かない点に気付くかもしれません。

行動観察・グループ観察

行動観察・グループ観察は、保護者の希望・了承を経て、必要に応じて実施されます。

行動観察では、臨床心理士等の専門家が幼稚園・保育園に行き、子どもが集団の中でどのように過ごしているか、様子を見ます。

グループ観察では、小学校などに集まり、集団の中で話を聞いているかなどの注意力など、教員が様子を見ます。

内容は自治体や年度、その時々の状況によって内容は異なります。

あくまでも参考と捉えてください。

行動観察・グループ観察は、子どもにとっても普段と違う・初めての状況で戸惑うこともあるかもしれません。
見通しがあると安心できる子どもには事前に何をするのか伝える、終わったあとには感想を聞き状況を理解するなど、フォローが大切です。

就学支援委員会での審議→再度面談

面談での様子、いままでの生育歴、医師や心理士の診察の結果、幼稚園・保育園での行動観察の結果をもとに、就学指導委員会でどこへ就学することがよいかを審議します。

審議された結果はそれが決定ではないため、安心してください。

上記の審議の結果を踏まえて、保護者の方と今後の就学先について再度話し合います。子ども自身の希望(「〇〇くんと遊びたい」といった友達関係も大切です。)も聞きながら、なぜその就学先を希望するのかを明確にして臨みましょう。

就学通知

面談等の結果、就学通知がおおよそ1月末までには届きます。

もしご家族の希望に沿わない場合は再度面談等が行われます。

前述しましたが最終的にはご家族の希望が尊重されます。

就学相談の捉え方・整理しておきたい考え方

別に就学相談をしなくても良い

通常の学級を希望する場合は、就学相談を受ける必要はありません。
ただし、通級指導教室(特別支援教室)、特別支援学級、特別支援学校を希望する場合は必要です。
就学相談の結果、通常の学級のという判断が出る場合ももちろんあります。

子どもの就学先に迷う場合は、就学相談を活用してみようかなというスタンスで構いません。

希望と審議結果が一致しない場合

子どもの就学先は、子ども本人と保護者、学校、教育委員会の三者の意思をまとめて総合的に判断されます。
ただし最終決定権は子ども本人と保護者にあるため、希望と判断が一致しなかった場合は、相談の継続・不服申し立てが可能です。

小学校のクラス見学や体験ができる場合もあるため、活用しましょう。

入学後の転籍・転学は可能

転籍や転学は基本的には可能です。
入学した後から「合わなかった」「子どもが成長した」など状況が変化することはあります。

子どもの環境を整えるためにも、常に子どもの様子と学校との連携は図っていきましょう。

文部科学省は2021年6月に「障害のある子供の教育支援の手引」にも、就学後も必要に応じて学校や学びの場を見直すことが重要であること、学校や学びの場は固定したものではなく、子どもの発達・適応などの状況に応じて変更できるものであることが記載されています。

このように、学校や学びの場は、子どもの状況に合わせて柔軟に対応することが望まれます。
しかし、実際には教員や教室が不足しているケースもあります。

前述通り入学後も子どもの様子を見ながら、学校や自治体と連携をはかっていくことが大切です。

まとめ

最後に就学相談の際に気を付けたいポイントを整理したいと思います。

見学に行ってみる。

一般的な就学相談は年長の春または秋から始まり、翌年1、2月頃には最終的な就学先が決まります。

ですが就学相談が始まる前にも、年中の時期や、年長の春に上記のそれぞれの学校へ見学へ行くことはできますし、就学相談の過程でも、見学や体験の機会が設けられることも多いです。

まずは子どもと保護者で見て実際に学校の雰囲気を感じ取った方が良いでしょう。必ず子どもと一緒に行くことが大切です。一番は子どもがどう感じたかを重視しましょう。

子ども本人の気持ちを聞く。

まずは保護者がここに行かせたいという思いよりも子ども本人がどこに行きたいかを聞くことが大切です。

家族で話し合う。

家族や夫婦で、子どもの就学先について積極的に話し合いましょう。家族や夫婦の間で、それぞれが子どもの教育についてどのように考えているのか、何を大切にしているのかを共有し、就学先の方向性を前もって話し合っておくことが大切です。

入学した後に、やっぱこっちにすればよかったとならないように見通しを持つことが重要です。

必要書類を揃える。

就学相談の過程では、発達検査や知能検査をすることが多いです。ですが、あらかじめ発達検査や知能検査、医師の診断書、意見書などを用意しておくとスムーズに決まることが多いです。

子どもにとっての最善を考える。

これが一番大切です。

子どものことを思う保護者としては、「完璧な選択」はとても難しいことでしょう。しかし、今ある選択肢の中からベターなものを選ぶために、子どもをよく観察し、何が必要か考えることが大切かもしれません。

※小学校入学は子どもの人生に訪れる最初のターニングポイントです。どう育ってほしいかを考えていきましょう。


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